レーザーマイクロダイセクションのプロトコール、その2です。
薄切切片の調整が終わったら、ダイセクションに移ります。ここではLeica MicrosystemsのAS LMDを使用しています。
事前に、LMDの顕微鏡周辺を70 %エタノールやRNase-offを使ってきれいにしておく。
特に、ステージとPCRチューブラックは入念に。
ダイセクションの際に用意するもの
0.5 mL PCRチューブ (Eppendorf)
QIAGEN Buffer RLT (使う前に2-メルカプトエタノールを1 %になるように入れておくこと)
マイクロピペット
フィルター付きチップ(RNase-free)
RNase-OFF
DEPC水
ペーパータオル
薄切サンプル
Laser Microdissectionの手順
① LMDシステムの立ち上げ(明視野の場合)
1. レーザーのスイッチon(鍵を12時の位置まで回す)
2. 顕微鏡コントロールボックスのスイッチon
3. PCモニタ電源on
4. PC起動
5. ソフトウェア (Leica Laser Microdissection)起動
薄切切片とPCRチューブのセット
1. Unloadをクリックし、ステージが手前に出てくるまで待つ。
2. スライドグラスをセット。組織が下向きになるようにする。
3. PCRチューブトレーを外して、PCRチューブをセットする。
4. PCRチューブのキャップに回収バッファー(Buffer RLT)を必要量入れる。
5. PCRチューブトレーを顕微鏡にセットして、Continueをクリック。
6. PCRチューブをモニタから選択する
②レーザーのキャリブレーション
1. エルゴコントローラーのボタンを使って、使用する対物レンズを選ぶ。
(高倍率の方がレーザーの密度が高くなり、その結果レーザーの出力を小さくできる)
2. サンプルが無い部分のフォイルがモニタに映っているようにステージを動かし、焦点を会わせる。
3. LaserのメニューからCalibrateを選択。
4. ポップアップのYesをクリック
5. 視野の右上に刻まれた十字とマウスのポインタの十字を重ねたら、クリック。
6. 同様に、左上、右下の十字をクリック。
7. OKをクリック。
注)対物レンズの倍率を変更したら、その度にキャリブレーションを行うこと。
試し切り(セッティング)
1. 切片の中でいらない部分をモニタに映し出す。
2. カッティングモードを選択する(Line、Circle、Rectのいずれかをクリック)。
3. マウスをドラッグしながら、切りとる部分を選択。
4. Cut ShapeのメニューからStart Cutをクリック。自動的に切り出しが始まる。
③レーザーの調整
試し切りできれいにカットできなかったときは、レーザーの出力(Laser Power)や、カットする速度(Speed)、カットラインの太さ(Line Thickness)、offset (レーザーの焦点)を調整する。
1. LaserメニューからControlを選択。
・Power : レーザーの出力を調整。(大きいほど良く切れるが、組織へのダメージも大きくなる)
・Speed : 切り出しの速度を調整。(遅いほど良く切れる)
・Specimen Balance : 切り終わりのときにレーザー出力を制御 (基本的には0でよい)
2. 設定を変更したら、Applyをクリック。
Line Thicknessの調整は後述。
offset(レーザーの焦点)の調節法
1. LaserメニューからControlを選択。
2. offsetの数値を変えて、applyをクリック。
3. Lineモードを選択し、組織の不要な部分を切ってみる。
4. きれいに切れるまで、offsetの数値を変えていく。
5. offsetの値が決まったら、OKをクリック。
offsetの数値が1だけ変わっても切れ方が大きく変化する場合があるので、こまめに調整すること。
設定の保存
切り出しの設定が決まったら、設定を保存する。
FlieメニューのSave Application Configurationから保存する。
(一度保存した設定は、使用頻度にもよるが2週間は有効)
保存した条件の読み出し
Restore Application Configurationから、保存した設定を選択し、開く。
④サンプルの切り出し
1. Lineまたは、Cirlce、Rectを選択し、マウスをドラッグしながら切り出す部分を囲む。
2. Start Cutをクリック。
切り出した切片の確認
1. Collectorをクリック。
2. バッファーの水面に焦点を合わせる。
3. 切り出した組織片を探す。
オーバービューの作製
1. Option→Settengs→Specimen Overviewを選択。
2. Create Specimen Overviewをクリック。
3. エルゴコントローラーでスキャン範囲の左上と右下、対物レンズを選択。(4xから試す)
4. Scanをクリック。
オーバービューからの操作
黄色の枠内をダブルクリック。
枠の色が緑になったら、目的の場所に枠を移動させ、ダブルクリックによって選択する。
ステージがその枠内に移動する。
マウスのホイールをまわすと拡大・縮小ができる。
オーバービュー画像の保存
Specimen OverviewのSave Overview Imageをクリック。
<その他>
カットラインの幅を変更する
Option→Settings→Cut Line AttributesのLine Thicknessから変更できる。
切り出しの精度は、同じくCut Line AttributesのLine Compressionから変更できる。
(1か2でほとんどの場合は対応できる。)
スケールバーの表示
View→Scale Barを選択。
長さの計測
Lengthをクリックし、始点から終点までマウスをドラッグする。
カッティングにおける原則
・カットラインの太さ(Line Thickness)は、対物レンズが高倍率になるほど細くすること。
・対物レンズが高倍率になるほど、レーザーの密度が高くなるので、レーザーパワーを下げたり、切るスピードを上げることができる。
・必ずしもカットラインの太さ(Line Thickness)を太くすれば切れやすくなるわけではない。カットラインの太さよりも、レーザーパワーの大小の方が、切れやすさにより影響する。
・高倍率にするほど、また切り取る面積が小さくなるほど、lineをより外側に設定するとよい。
・弱いレーザーパワーで同じ軌跡を何度もトレースするよりは、レーザーパワーを強めにして一発で切り取る方が、結果としてサンプルのダメージが小さい。
(参考) 標準的なセッティング例
x 20対物レンズでのセッティング
有効な最小切り出し面積(Rectモードで) 1,000 um2程度
最大切り出し面積(Lineモードで)80,000 um2程度
Laser Power 85~95
Line Thickness 1~2
Speed 3~5
offset 30前後
Specimen Balance 0
x 6.3対物レンズでのセッティング
有効な最小切り出し面積(Rectで) 5,000~6,000 um2程度
Laser Power 60~65
Line Thickness 1 or 2 (2を推奨)
Speed 1 or 2
x 10対物レンズでのセッティング
有効な最小切り出し面積(Rectで) 2,000 um2程度
Laser Power 60~65
Line Thickness 1 or 2 (1を推奨)
Speed 1 or 2
Specimen Balance 15程度
x 20対物レンズでのセッティング
有効な最小切り出し面積(Rectモードで) 1,000 um2程度
最大切り出し面積(Lineモードで)70,000 um2程度
Laser Power 85~95
Line Thickness 1~2
Speed 3~4
offset 30前後
Specimen Balance 20程度
x 40対物レンズでのセッティング
有効な最小切り出し面積(Rectで) 500 um2程度
Laser Power 80~95
Line Thickness 1~2
Speed 2~7
Specimen Balance
compression(カットラインの軌跡に関する情報量の圧縮率)は全ての対物レンズで1を選択しているが、x 40 以上で小さく切り出すときは0にする。
薄切切片の調整が終わったら、ダイセクションに移ります。ここではLeica MicrosystemsのAS LMDを使用しています。
事前に、LMDの顕微鏡周辺を70 %エタノールやRNase-offを使ってきれいにしておく。
特に、ステージとPCRチューブラックは入念に。
ダイセクションの際に用意するもの
0.5 mL PCRチューブ (Eppendorf)
QIAGEN Buffer RLT (使う前に2-メルカプトエタノールを1 %になるように入れておくこと)
マイクロピペット
フィルター付きチップ(RNase-free)
RNase-OFF
DEPC水
ペーパータオル
薄切サンプル
Laser Microdissectionの手順
① LMDシステムの立ち上げ(明視野の場合)
1. レーザーのスイッチon(鍵を12時の位置まで回す)
2. 顕微鏡コントロールボックスのスイッチon
3. PCモニタ電源on
4. PC起動
5. ソフトウェア (Leica Laser Microdissection)起動
薄切切片とPCRチューブのセット
1. Unloadをクリックし、ステージが手前に出てくるまで待つ。
2. スライドグラスをセット。組織が下向きになるようにする。
3. PCRチューブトレーを外して、PCRチューブをセットする。
4. PCRチューブのキャップに回収バッファー(Buffer RLT)を必要量入れる。
5. PCRチューブトレーを顕微鏡にセットして、Continueをクリック。
6. PCRチューブをモニタから選択する
②レーザーのキャリブレーション
1. エルゴコントローラーのボタンを使って、使用する対物レンズを選ぶ。
(高倍率の方がレーザーの密度が高くなり、その結果レーザーの出力を小さくできる)
2. サンプルが無い部分のフォイルがモニタに映っているようにステージを動かし、焦点を会わせる。
3. LaserのメニューからCalibrateを選択。
4. ポップアップのYesをクリック
5. 視野の右上に刻まれた十字とマウスのポインタの十字を重ねたら、クリック。
6. 同様に、左上、右下の十字をクリック。
7. OKをクリック。
注)対物レンズの倍率を変更したら、その度にキャリブレーションを行うこと。
試し切り(セッティング)
1. 切片の中でいらない部分をモニタに映し出す。
2. カッティングモードを選択する(Line、Circle、Rectのいずれかをクリック)。
3. マウスをドラッグしながら、切りとる部分を選択。
4. Cut ShapeのメニューからStart Cutをクリック。自動的に切り出しが始まる。
③レーザーの調整
試し切りできれいにカットできなかったときは、レーザーの出力(Laser Power)や、カットする速度(Speed)、カットラインの太さ(Line Thickness)、offset (レーザーの焦点)を調整する。
1. LaserメニューからControlを選択。
・Power : レーザーの出力を調整。(大きいほど良く切れるが、組織へのダメージも大きくなる)
・Speed : 切り出しの速度を調整。(遅いほど良く切れる)
・Specimen Balance : 切り終わりのときにレーザー出力を制御 (基本的には0でよい)
2. 設定を変更したら、Applyをクリック。
Line Thicknessの調整は後述。
offset(レーザーの焦点)の調節法
1. LaserメニューからControlを選択。
2. offsetの数値を変えて、applyをクリック。
3. Lineモードを選択し、組織の不要な部分を切ってみる。
4. きれいに切れるまで、offsetの数値を変えていく。
5. offsetの値が決まったら、OKをクリック。
offsetの数値が1だけ変わっても切れ方が大きく変化する場合があるので、こまめに調整すること。
設定の保存
切り出しの設定が決まったら、設定を保存する。
FlieメニューのSave Application Configurationから保存する。
(一度保存した設定は、使用頻度にもよるが2週間は有効)
保存した条件の読み出し
Restore Application Configurationから、保存した設定を選択し、開く。
④サンプルの切り出し
1. Lineまたは、Cirlce、Rectを選択し、マウスをドラッグしながら切り出す部分を囲む。
2. Start Cutをクリック。
切り出した切片の確認
1. Collectorをクリック。
2. バッファーの水面に焦点を合わせる。
3. 切り出した組織片を探す。
オーバービューの作製
1. Option→Settengs→Specimen Overviewを選択。
2. Create Specimen Overviewをクリック。
3. エルゴコントローラーでスキャン範囲の左上と右下、対物レンズを選択。(4xから試す)
4. Scanをクリック。
オーバービューからの操作
黄色の枠内をダブルクリック。
枠の色が緑になったら、目的の場所に枠を移動させ、ダブルクリックによって選択する。
ステージがその枠内に移動する。
マウスのホイールをまわすと拡大・縮小ができる。
オーバービュー画像の保存
Specimen OverviewのSave Overview Imageをクリック。
<その他>
カットラインの幅を変更する
Option→Settings→Cut Line AttributesのLine Thicknessから変更できる。
切り出しの精度は、同じくCut Line AttributesのLine Compressionから変更できる。
(1か2でほとんどの場合は対応できる。)
スケールバーの表示
View→Scale Barを選択。
長さの計測
Lengthをクリックし、始点から終点までマウスをドラッグする。
カッティングにおける原則
・カットラインの太さ(Line Thickness)は、対物レンズが高倍率になるほど細くすること。
・対物レンズが高倍率になるほど、レーザーの密度が高くなるので、レーザーパワーを下げたり、切るスピードを上げることができる。
・必ずしもカットラインの太さ(Line Thickness)を太くすれば切れやすくなるわけではない。カットラインの太さよりも、レーザーパワーの大小の方が、切れやすさにより影響する。
・高倍率にするほど、また切り取る面積が小さくなるほど、lineをより外側に設定するとよい。
・弱いレーザーパワーで同じ軌跡を何度もトレースするよりは、レーザーパワーを強めにして一発で切り取る方が、結果としてサンプルのダメージが小さい。
(参考) 標準的なセッティング例
x 20対物レンズでのセッティング
有効な最小切り出し面積(Rectモードで) 1,000 um2程度
最大切り出し面積(Lineモードで)80,000 um2程度
Laser Power 85~95
Line Thickness 1~2
Speed 3~5
offset 30前後
Specimen Balance 0
x 6.3対物レンズでのセッティング
有効な最小切り出し面積(Rectで) 5,000~6,000 um2程度
Laser Power 60~65
Line Thickness 1 or 2 (2を推奨)
Speed 1 or 2
x 10対物レンズでのセッティング
有効な最小切り出し面積(Rectで) 2,000 um2程度
Laser Power 60~65
Line Thickness 1 or 2 (1を推奨)
Speed 1 or 2
Specimen Balance 15程度
x 20対物レンズでのセッティング
有効な最小切り出し面積(Rectモードで) 1,000 um2程度
最大切り出し面積(Lineモードで)70,000 um2程度
Laser Power 85~95
Line Thickness 1~2
Speed 3~4
offset 30前後
Specimen Balance 20程度
x 40対物レンズでのセッティング
有効な最小切り出し面積(Rectで) 500 um2程度
Laser Power 80~95
Line Thickness 1~2
Speed 2~7
Specimen Balance
compression(カットラインの軌跡に関する情報量の圧縮率)は全ての対物レンズで1を選択しているが、x 40 以上で小さく切り出すときは0にする。