久しぶりの更新にもかかわらず、ネタ的な記事で恐縮です。

pubmedpipd


将来、自分や知り合いの研究者がPIになれるかどうかについて、研究者なら誰しも考えることですし、気になるでしょう。独立して研究室を主宰するには、論文と競争的資金の獲得を積み重ねていくことが必要ですが、自分がPIにどれだけ近いところにいるのか、客観的に評価するのは容易ではありません。

そんな研究者の心理を突いたかのようなウェブツールが6月に公開されたので、ここで紹介してみたいと思います。その名もPIPredictorは、スペインのPompeu Fabra Universityの研究者によって開発されたもので、
研究者の姓と性別、そして論文のPubMed IDを入力するだけで、PIになれる確率を算出してくれます(試しに、さきがけの若手研究者でやってみたところ、もっともらしい数値が返ってきました)

このツールのアルゴリズム開発にあたり、開発者がPIの業績を解析したところ、高IF誌への掲載はPIになる上では貢献するものの、それだけが決定的な要素ではないことが明らかになったそうです。むしろ、掲載誌の平均を越えて引用される論文がどれだけあるかが重要であると判明しています。
また、性別と所属機関といった論文リスト以外の要素もPIになれるかどうかに、有意な影響を与えるとのことです。

自分について調べるのは少し勇気がいるかもしれませんが、欧米のPIとなった研究者がこのPIPredictorを使って、自分がPIになれる確率を調べたところ、低い数値が出る例が報告されており、必ずしも信頼性が高いわけではないようです。また、欧米の研究者のデータを基に開発されているので、日本の機関に所属する研究者についても精度よく結果を弾き出すのかは不明です。ですから、結果については深刻に捉えずに、都合よく解釈しておくことをお勧めします(笑)。