2013年11月

今朝、ノーベル化学賞を二度受賞したフレデリック・サンガー博士の訃報を知りました。かなりのご高齢であったため、そう遠くない将来にこの日がきてしまうことは予期していましたが、それでもやはりショックです。

学生時代に、彼が自身の研究者人生をエッセイ風に綴った、Annual Review of Biochemistry誌の素晴らしいレビュー(タイトルがふるっていて、その名もSequences, sequences, and sequences.)を読んで、感激したことを思い出します。

このレビューのfull textが読める幸運な環境下にいる人には、ぜひ読んで頂ければと思います。
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以前に2回のエントリーに渡って、建築が印象的な世界の研究所を紹介してきましたが、今回はその最終回です。

7. La Trobe Institute for Molecular Science (LIMS)
所在地 オーストラリア ビクトリア州

熱帯魚の鱗を思わせるカラフルな網目の外観が目をひくのは、オーストラリアのビクトリア州にある公立大学La Trobe UniversityのLa Trobe Institute for Molecular Scienceです。今年完成したばかりのこの研究所はバイオテクノロジーやナノテクノロジーを中心に、34の研究室が在籍するLa Trobe Universityでは最も大きな研究施設のひとつです。研究所の内部は共同研究を促すために、壁や仕切りの少ない開放的な造りで、いわゆるオープンラボになっています。
この研究所は学生や若手研究者の育成に特に力を入れているそうで、研究所の下層には1ー3年までの学部生向けの研究スペースも完備されています。
また、下の写真にもあるように実験室の水道やガスもポップな色が使われており、外観のイメージと調和しています。

こちらからストリートビューで見ることができます→http://www.latrobe.edu.au/lims/about/lims-complex









8. Neurosciences Institute
所在地:カリフォルニア州 ラ・ホーヤ

Neurosciences Instituteは1981年にノーベル賞受賞者のジェラルド・エーデルマンが設立した比較的小規模な神経科学の研究所です。(当初はニューヨークで設立され、1993年にサンディエゴに移転)
しかし、2012年に経営的な問題により、近隣のスクリップス研究所へ譲渡され、現在では貸しオフィスになっているそうです。







9. MIT media lab
マサチューセッツ州 ケンブリッジ

伊藤穣一氏が所長を務めるMITのメディア・ラボ新館は2009年に完成した6回建で総床面積15,000平方メートルの研究所で、設計は日本を代表する建築家、槇文彦氏(プリツカー賞受賞者)によるものです。
内部はオープンな造りにで見渡すことができ、誰が何をやっているのかひと目でわかるようになっているのが特徴になっています。それにより、研究者間の交流促進をねらっているそうです。

こちらで所内のスライドショーが見れます→ http://media.mit.edu/about/building







10. Salk Institute for Biological Studies
所在地 カリフォルニア州 ラ・ホーヤ

さて、長々と3回のエントリーに渡り書いてきたこのコラムですが、最後はやはりこの研究所を紹介したいと思います。
ポリオワクチンの開発者として知られるジョナス・ソーク博士が1960年にサンディエゴのラ・ホーヤ(La Jolla, スペイン語で宝石を示すla joyaに由来)に設立した民間の非営利研究有所です。ご存知の方も多いと思いますが、全米でもトップクラスの研究所であり、分子生物学や神経生物学、植物科学など幅広い分野の研究が行われています。

この研究所の設計は最後の巨匠とも評されるルイス・カーンによるもので、太平洋を望む中庭を挟んで、幾何学的でシャープなデザインの研究棟が対称になっています。研究棟は打ちっぱなしのコンクリートですが、複数のセメントを配合することでカリフォルニアの日差しの中で映える色を追求しています。また、窓枠付近には木材が使用されており、どことなく無機質な建物に温かみのある質感を与えています。








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