今年もトムソン・ロイターから、論文の引用動向からみる日本の研究機関ランキングが発表されました。
全分野の論文被引用数を機関別にみた場合はこちらの表にあるように、1位が東大(17位)、2位 京大(35位)、3位 阪大(47位)、4位 JST(59位)、5位 東北大(77位)となっています。 ※カッコ内は世界順位
被引用数は基本的には発表論文数が多いほど多くなりますから、どうしても規模の大きな研究機関が有利になってしまいます。そこで、論文の質という観点から平均引用数で並べてみると、
1位 JST ・・・そりゃ、ERATO, Crest,さきがけ etcがありますからね...
2位 理研・・・まあ、順当。
3位 自然科学研究機構・・・基生研、生理研、分子研など擁してますから納得
4位 東京医科歯科大学・・・研究レベル+医学系は引用数が大きい傾向のおかげ?
5位 東大
6位 阪大
7位 京大
・
・
となっており、独法が強い結果となりました。
また、生物学・生化学分野で、平均引用数の順に並べてみると、
1位 JST
2位 理研
3位 東大
4位 京大
5位 阪大
・
・
となっています。平均引用数については上記のリンクを参照して欲しいのですが、JSTが飛び抜けていて、それ以降は僅差となっています。また、材料系では強い東北大がこの分野ではそれほどでもなかったりして、大学の特色がみえてくるのも面白いところです。おそらく、付属研究所の有無などもかなり影響しているのでしょう。
全分野をまとめて、国別でみた場合、日本は論文数、被引用数、平均被引用数のいずれも前年より上昇しているものの、中国等の台頭によって、相対的に世界順位は低下しているとのことです。
まあ、これ自体は仕方がないことでしょう。実際、論文数のシェアは日本だけでなく欧米も低下していますので。
ただ、問題なのは、少し前に話題になっていた文科省の研究費部会の資料に示されているように、Top10%補正論文数*のシェアが英・独・仏は伸びているのに対して、日本は低下している点でしょう。
これについては各紙社説や研究者のブログ等で、様々な意見が出ていましたが、どれも決定的な見解を提出しているようには思えません。もちろん、私ごときが完全な解決策を見つけることなどできるはずもありませんが、個人的には、研究費の重点配分でもバラマキでもダメだと思っています。研究をやる人ではなく、やれる人にきちんと研究費がまわる仕組みを作ること、それが必要と感じています。そのために何をすべきか、いろいろと思考する毎日です。
*被引用回数が各年各分野で上位10%に入る論文の抽出後、実数で論文数の1/10となるように補正を加えた論文数
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1位 JST
2位 理研
3位 東大
4位 京大
5位 阪大
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となっています。平均引用数については上記のリンクを参照して欲しいのですが、JSTが飛び抜けていて、それ以降は僅差となっています。また、材料系では強い東北大がこの分野ではそれほどでもなかったりして、大学の特色がみえてくるのも面白いところです。おそらく、付属研究所の有無などもかなり影響しているのでしょう。
全分野をまとめて、国別でみた場合、日本は論文数、被引用数、平均被引用数のいずれも前年より上昇しているものの、中国等の台頭によって、相対的に世界順位は低下しているとのことです。
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ただ、問題なのは、少し前に話題になっていた文科省の研究費部会の資料に示されているように、Top10%補正論文数*のシェアが英・独・仏は伸びているのに対して、日本は低下している点でしょう。
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