2011年08月

聴衆を惹きつけるプレゼンのコツ
<その2 聴衆をプレゼンから脱落させないコツ>


(コツ その1:<プレゼンは出だし〜序盤が肝心>はこちら

イントロがバッチリと極まって、聴衆がプレゼンにしっかりついて来たとしても、それで安心はできません。その後の発表法次第では、聴衆は容易にプレゼンから脱落してしまいます。ここでは、聴衆の脱落を減らすための方法をいくつか紹介します。

・パートごとに、まとめのスライドを入れる
プレゼンは通常、いくつかのパートから構成されます。内容や発表時間にも依りますが、できるだけひとつのパートを20分以内に収めて、パートが終了するたびにまとめのスライドを入れましょう。このまとめスライドは聴衆がプレゼンを理解するのを助けると同時に、一息つけるタイミングにもなりますから、聴衆の集中力を回復させる効果があります。

*まとめのスライドは全てのパートに入れる必要はありません。イントロダクションなどのパートには基本的に不要です。

*発表時間が短い(15分程度)場合は、時間的な制約があることや、聴衆の集中力が切れるまえにプレゼンが終わるので、最後にまとめるだけで良いでしょう。


・経過地点を明確にする
プレゼンの最初の方で、インデックス的なスライド*を入れる方は多いと思います。発表時間が2,30分を超える場合は、あるパートが終了し、次のパートに入る前に、このインデックススライドを再び提示すると、聴衆はプレゼンがどこまで進んだのか容易に理解できます。また、聴衆は次のトピックに向けて頭を切り替えることができまし、一息つけるタイミングにもなりますので一石三鳥です。

*プレゼンの構成内容を箇条書きにしたスライドのこと。


・スライドの枚数に注意する
時間あたりのスライド枚数が多くなるほど、聴衆はプレゼンをフォローするのが辛くなります。一般的に、適切なスライドの枚数は1枚/分程度とされています。多くなりすぎないように注意しましょう。


<その3 しっかりまとめる>
プレゼンにおいても「終わりよければ全てよし」がある程度当てはまります。プレゼンの「終り」とは、プレゼン全体をまとめたスライド(群)であり、この部分がわかりやすいことは重要です。たとえ、聴衆がプレゼンの中身を十分に理解できなくとも、最後にわかりやすいまとめがあれば、少なくとも結論については理解できます。すなわち、プレゼンの最低限の目的は達成することができるわけです。また、それによって聴衆もある程度は満足感を得て帰ることができるでしょう。

プレゼンの最後のまとめでは、
1.自分が明らかにしたこと、見つけたことは何か
2.1の意義は何か
3.今後の展開


の3点について、明瞭かつ簡潔に述べます。(もちろん、必要だと思えばさらなる情報を追加しても構いません)この際、成果の重要性をアピールすることは重要ですが、当然ながら誇張や曖昧さは排除しなければなりません。



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かなり間が空いてしまいましたが、前回の続きです。

前回のエントリー:聴衆を惹きつけるプレゼンテーションの技法①


c. プレゼンにおける専門用語の使い方
わかりやすいプレゼンのためには、専門用語の説明についても十分に配慮する必要があります。

まずは、プレゼンで使用する専門用語を導入部でわかりやすく定義・説明しましょう。特にアルファベットの略称で表される専門用語は、略す前の正式名称も添えながら丁寧に説明することをお勧めします。

専門用語をどの程度まで詳しく説明するかですが、その用語の専門性が高くなればなるほど、あるいは、聴衆の専門性が低くなればなるほど(分野外の研究者や一般市民が聴衆の割合が増えるほど)丁寧に説明する必要があります。

また、後者の状況では、プレゼンの最中に何度か専門用語の定義や説明を繰り返すことで、聴衆に"復習"してもらいましょう。(この際には、それほど丁寧に説明する必要は無く、口頭でサラリと済ませるだけで十分です)
"復習"がなぜ必要なのかといえば、いくら最初に専門用語を定義したとしても、聴衆が途中で忘れてしまうことがあり、その結果プレゼンについていけなくなるからです。このような専門用語の復習によって、プレゼンから脱落する聴衆を減らすことができます。

d. 効果的なイントロダクションを作るコツ
プレゼンにおけるイントロダクションの主な役割は、
1.プレゼンを理解してもらうための下地をつくる。
2.自分のプレゼンに対する聴衆の興味・関心を高める。


ことであると管理人は考えます。
この二つが達成されれば、聴衆はプレゼンの序盤で脱落することなく、意欲的にプレゼンを聴いてくれるでしょう。
では、どのようにすればよいのでしょうか?

1.プレゼンを理解してもらうための下地をつくる。
・必要な情報の網羅 + わかりやすさ
イントロダクションがプレゼンを理解するための下地づくりとして機能するには、プレゼンの理解に必要な情報がきちんと盛り込まれていなければなりません。また、単に情報を盛り込むだけでなく、それらを分かりやすく説明する必要があります。イントロでは特に明瞭かつ簡潔な記述・説明を心がけてください。

イントロに盛り込むべき情報
1. 主題:自分がこれから話すことは何か
2. 背景:これまでに何が分かっていて、何がわかっていないのか。+ 専門用語の説明
3. 意義・目的:自分の研究の意義・目的は何か
4. 結果:研究した結果、どうなったのか

注)順番はこの通りである必要はありません。
また、これら以外にも聴衆の理解を助ける情報があれば、追加しても構いません。逆に、発表時間に制約がある場合などは、削っても良いでしょう。

なお、4については、イントロに含めなくても良いのではと思う方もいるでしょう。もちろん、この段階では結果について詳しく話す必要はありません。
「XXXとAAAの関係について興味深いデータが得られた」とか「OOOの新たな機能を発見した」というようなざっくりとした言い方で十分でしょう。
イントロで結果について軽く触れるのは、上記1を補完したり、プレゼンの要点を予め聴衆にインプットし、プレゼンを理解しやすくするためだからです。
(また、このように大まかな言い方をした方が、聴衆はもっと詳細を知ろうとし、プレゼンにより集中する傾向があります。)

時折、イントロを丁寧にしようとするあまり、説明が冗長になり、結局何が言いたいのかよくわからないプレゼンを見かけます。繰り返しになりますが、明瞭かつ簡潔であることを忘れないでください。

2.自分のプレゼンに対する聴衆の興味・関心を高める。
・聴衆の興味・関心を高めるコツ
イントロで聴衆の興味を惹くことができれば、聴衆はより高い集中力とモチベーションをもってあなたのプレゼンを聴いてくれるでしょう。その結果、プレゼンをより深く理解してくれるはずです。
では、どうすれば良いのでしょうか?

例えば、あなたがモデル生物を使っている基礎研究者で、臨床系の研究者を相手に講演するとします。その時に、あなたが研究している遺伝子のヒトでのホモログについて説明し、関連する疾患を紹介すれば、聴衆の興味を効果的に惹くことができます。

また、一般市民などの非研究者を相手に発表する際には、あなたの研究する生命現象を日常生活の身近な事象に例えたり、実社会との結びつきを示したりすることで、ぐっと聴衆の興味をひくことができます。
つまり、聴衆の関心事と発表内容をリンクさせることが効果的なのです。


次回へ続きます。
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