2011年05月

前々回のエントリーでは、生命科学研究にちなんだ面白い動画として、The PCR Songを紹介したわけですが、もう一本動画を紹介するのをすっかり忘れていました。これはいかん、というわけで早速ご紹介するのが、GTCA Songです。
この動画もThe PCR Songを作ったBio-Rad社がPCR試薬の販促目的に作製したもので、Village PeopleのY.M.C.Aのパロディになっています。


注)画面をクリックすると自動的に再生が始まります。周囲に教授がいないこと確認してからご鑑賞ください。

いかかでしたでしょうか?
The PCR Songよりもさらにおバカな感じに仕上がっていて、ステキです(笑)。
実験に失敗して、落ち込んだ時に見ると気が紛れて良さそうです。

なお、歌詞や動画、MP3は以下のリンクからダウンロードできます。
http://bio-rad.cnpg.com/Video/flatFiles/799/


もう一個、いろんな意味で破壊力のある動画を紹介しておきましょう。
こちらは現時点でなんと再生回数が280万回に迫る勢いの超人気動画です。

Bad Project



ベイラー医科大学のHui Zheng LabのメンバーがLady GagaのBad Romanceのを元ネタにして、ハズレの研究プロジェクト(=Bad Project)を掴まされてしまった研究者の心境をユーモアたっぷりに歌い上げています。歌詞が非常に秀逸で、思わず共感できるひとも多いのでは?
ところで、こんな動画作ってる暇があったら実験しろとPIが言わなかったのかどうか気になります...
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通常、PCR産物をサブクローニングする場合には、以前のエントリーで述べたように、プライマーの末端に予め制限酵素部位を付加しておき、PCR産物を制限酵素で消化してからライゲーションする方法がよく使われます。
しかしながら、制限酵素部位を利用したライゲーションが困難な場合もあり、その際には、PCR産物をそのままブラント・ライゲーションすることがあります。
(注:PCR産物をブラント・ライゲーションするには、3'末端に余分な塩基を付加しないタイプの耐熱性DNAポリメラーゼを使用する必要があります)

この場合、プライマーの5'末端にはリン酸基が無いため、予めリン酸化しておく必要があります。リン酸化したプライマーを入手するには、プライマーを注文する際にオプションでリン酸化してもらうか、プライマーを購入後、T4ポリヌクレオチドキナーゼ(以下、T4PNK)等を用いて、自分でリン酸化することになります。
前者はオリゴハウスがやってくれるので簡単ですが、コストがかなり高くついてしまいます。そこでここでは、後者のプロトコールについて説明したいと思います。

注)PCR産物をリン酸化してライゲーションすることも理論的には可能ですが、二本鎖よりも一本鎖の方がリン酸化の効率が高いため、通常はプライマーをリン酸化します。


プライマーのリン酸化プロトコール

今回のプロトコールでは、タカラバイオのT4 Polynucleotide Kinase (cat. no. 2021)を使用。

<量論について>
ここでは、25倍希釈したときに濃度が0.5 uMとなるようなリン酸化プライマーのストック溶液(つまり12.5 uM)を10uL調整することを目標とする。

準備
予めプライマーを10 mM Tris-HCl, 0.1 mM EDTA pH 8.0などに溶かし、50 uMの溶液にしておく。(EDTAは1mMでなく0.1mMで十分)

12.5 uM(25倍希釈で0.5uMになる) のリン酸化プライマー溶液を10 uL調整しようとすると、12.5 uM×10 uL = 125 pmolのプライマーが必要となる。
したがって、50 uMに調整したプライマー溶液を2.5 uL使用する。

反応系のスケール:20 uL
プライマー(50uM) 2.5 uL
10 × T4 PNK Buffer 2 uL
T4 PNK (10 U / uL) 1 uL
10 mM ATP 2 uL (最終濃度1 mM)
滅菌Milli Q水    〜 20 uL

注)プライマーはフォワードとリバースを一緒にリン酸化することも可能だが、別々にリン酸化した方がいろいろと融通が効くのでお勧め。
また、反応系のスケールは適宜変更可能。

上記を調整したら、37 ℃で30分間インキュベートし、さらに続けて70 ℃で5分間インキュベートする。(インキュベーターやサーマルサイクラーを使用)

30 uLのMilliQを加えて50 uLとした後、エタノール沈殿を行う。
(5 uLの 3 M 酢酸ナトリウムを加え、さらに125 uLの100 %エタノールを加える。ボルテックス後、氷上で15分静置)

15,000 rpm、4 ℃で15分間遠心する。

上清をピペットマンで取り除き、70% エタノールを180 uL加え、15,000 rpm、4 ℃で5分間遠心する。

上清を取り除き、遠心エバポレーター等で乾燥させる。

10 uLの滅菌MilliQ水 に溶解したら-20℃で保存する。なお、滅菌MilliQ水の代わりにTEを使用しても良い。

*実際には、収率は100%ではないため、収量は想定以下になりますが、それでもPCRに使うには十分な量が得られます。

Appendix
10 mM ATPの調整法


用意するもの
1 M Tris-HCl pH 8.0(滅菌済)
ATP(粉末)・・・ナトリウム塩でもよい (SIGMA A7699等)
滅菌MlliQ水

まず、100 mLのビーカーに1 M Tris-HCl (pH 8.0)を2.5 mL入れ、滅菌MilliQ水を90 mLくらいまで注ぐ。(Tris-HClの最終濃度は25 mM)

次に、ATPの分子量(ATP 二ナトリウム塩ならば 551.14)×0.001グラムのATPをビーカーに加えて、スターラーで溶かす。
最後にメスシリンダーに移して、滅菌MilliQ水で100 mLにメスアップする。
0.22 umのフィルターで濾過滅菌した後、マイクロチューブや遠心チューブなどに分注して-20 ℃で保存。
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前回のエントリーで、長かったPCRプロトコールのセクションがようやく一区切りつきました。
そこで、今回のエントリーではおまけというかお遊びのエントリーとして、実験の合間に一息ついていただける動画をご用意いたしました。エントリーのタイトルにもあるように「PCR動画」ではなく、「PCR動画」というのがミソです。

その名も”The PCR Song


注)画面をクリックすると自動的に再生が始まります。音が出ますので、自宅か深夜のラボでご鑑賞ください(笑)。

公開後、かなり話題となった(ごく一部で)この動画は、白と緑のツートンカラーでお馴染みのBio-Rad社がプロモーションの一環として作製したものです。
ちなみに、The PCR Songの動画と歌詞は以下のリンクからダウンロードできます。
http://www.cnpg.com/video/flatfiles/539/

おまけ
The PCR Songの動画、どこかで見たことあるような気がしませんか?
元ネタもついでに貼りつけておきます。

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