2010年12月

さて、2010年もいよいよ今日で最後となりました。振り返ってみると、今年2月にスタートした当ブログは、当初ほとんどアクセスがありませんでしたが、その後、ゆっくりとしかし着実に訪問者数を増やし、今では当初の予想を遥かに超えるまでになりました。
そして、その皆様からのアクセスが励みとなり、このブログを続けてくることができました。
Lablogueをご愛読頂き、ありがとうございます。

相変わらず、更新のペースは遅いのですが、本業の合間を縫って、できるだけ良いコンテンツをお届けするために試行錯誤しているためであり、ご理解いただければ幸いです(RSSリーダー使用することで、更新をチェックできますので、ぜひご活用ください)
まだまだ、ネタはたっぷりと有りますので、これからも皆様のお役に立ちそうな情報を発信していきます。
来年もよろしくお願いします。

それでは、皆さん良いお年を!

Lablogue管理人 Okabe

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今回のエントリーではブックレビューとして、分子生物学や生化学分野の計算に関する参考書を2冊紹介したいと思います。

なぜ、このようなテーマの参考書を取り上げるのかと言いますと、
「ベクター モル 計算」とか「ライゲーション モル比 求め方」などの検索ワードから、当ブログのライゲーションに関するエントリーにアクセスする方が結構多く、この手の計算を苦手にしている方が案外多いのではないかと感じたためです。

今回紹介する2冊の参考書は、分子生物学や生化学で必要な計算法について特化しており、何かの計算が必要になったときに参照すると良いでしょう。
なお、いずれも英語ですが、平易に書かれていますし、数式を見るだけでもかなりの部分は理解できますので英語が得意でなくても問題ないと思います。

Lab Math
Dany Spencer Adams著
Cold Sprig Harbor Laboratory Press発行
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左からLab MathとBIOCHEMICAL CALCULATIONS

1冊目は、プロトコール集の出版で定評のあるCold Spring Harbor Laboratory PressのLab Mathです。

この参考書は核酸やタンパク質の化学量論的計算を中心に、各種定量法やイメージング技術に関する計算、実験データの統計処理などについても解説しています。また、巻末には定数や公式の早見表がついており、実用的です。
ただ、イメージングや統計に関しては、初歩的な内容にとどまっていますので、これらに関しては、”おまけ”と捉えた方が良いでしょう。基本的には、試薬調整や実験で必要となる各種計算を扱った実用書であると言えます。

ちなみに、この参考書はサイズが比較的コンパクト(B5より少し小さいくらい)で、実験台のスペースもあまり取りませんし、リング綴じになっていますので、開いたページが何かのはずみに閉じてしまうこともなく、現場での使い勝手も良好です。

BIOCHEMICAL CALCULATIONS 2ND EDITION
IRWIN H. SEGEL著
WILEY発行

2冊目は、BIOCHEMICAL CALCULATIONSです。こちらの参考書はその名前が示すように、生化学の計算を専門に扱っており、酸塩基反応や生体分子の化学量論、代謝のエネルギー論、酵素反応等をひと通りカバーしています。特に、酵素反応の計算に関しては100ページ以上も割かれており、かなり高度な内容まで踏み込んでいます。
この参考書が良い点は、例題が多く用意されており、しかも計算の過程がわかりやすく示されていますので、計算のステップを一歩ずつ理解できるようになっていることです。また、演習問題も比較的多いので、それを使って計算のトレーニングをすることもできます。

なお、このBIOCHEMICAL CALCULATIONSは、かなり以前に廣川書店から「シーゲル 生化学計算法」というタイトルで翻訳が出ていましたので、大学の図書館などで探せばみつかるかもしれません。

最後に、Lab Mathとの比較ですが、Lab Mathがあくまでも現場用のハンドブックであるのに対して、BIOCHEMICAL CALCULATIONSは理論寄りで、より厳密な生化学計算を深く学ぶための参考書と言えるでしょう。



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