DNAのライゲーションを行う場合、付着末端*(cohesive end)の方が、平滑末端(blunt end)よりもライゲーションの効率が良いとされています。
したがって、基本的には付着末端でライゲーションすることが望ましいのですが、
場合によっては平滑末端でライゲーション(blunt-end ligation)せざるを得ないこともあります。
今回のエントリーでは、blunt-end ligation等のためにDNAの突出末端を平滑化する
プロトコールを紹介したいと思います。
*粘着末端(sticky end)と同義
二本鎖DNAの突出末端を平滑化する場合には、突出した末端の方向性に応じて以下の方法があります。
・ 5'突出末端の場合
5'突出末端を鋳型にして、相補鎖の3'末端をKlenowフラグメントなどのポリメラーゼ活性によって伸長させることで平滑化する。
・3'突出末端の場合
3'突出末端をT4DNA ポリメラーゼが持つ3'→ 5'エクソヌクレアーゼ活性で削って平滑化する。
一般的には、前者の方法、つまり5'突出末端をKlenowフラグメントなどで平滑化するのが望ましいとされています。これは3'突出末端をT4 DNAポリメラーゼの強力な3'→5'エクソヌクレアーゼ活性で平滑化しようとすると、削りすぎてしまい、一塩基ほど5'突出末端になってしまうことがあるためです。その結果、5'突出末端を平滑化した場合に比べて、ライゲーションの効率が低くなります。
5'突出末端の平滑化プロトコール
ここではタカラバイオのKlenowフラグメントキット(Takara Bio, cat no. 2140A, or 2140B)を例に、5'突出末端を平滑化するプロトコールを紹介します。(ここで、タカラバイオのもの使用しているのは、Lablogue管理人が単に使い慣れているという理由です。もちろん他社のものでも構いませんが、その場合は使用説明書に従ってください)
まずKlenowフラグメントを適切に扱うために、以下の点に留意しておきましょう。
・ 活性にはMg 2+を必要とする。
・ vortex等の激しい衝撃により失活しやすい。混ぜるときは、ゆっくりとピペッティングする。
注1):Klenow Fragment(製品コード 2140A/B)に添付
注2):酵素の量はDNA1 ugに対して0.1Uが目安
注3):複数の反応を行うときはマスターミックスを作製する。1反応しかしかしない場合は1X Klenow Bufferで希釈する。
1. 上記の組成で反応液を調整し、37℃で10~30分間反応する。
2. 70 ℃で10分間加熱することでKlenowフラグメントは失活する。平滑化したDNAをサブクローニングなどに使用する場合は、フェノール/クロロホルム処理した後、エタノール沈殿を行う。
参考サイト
http://catalog.takara-bio.co.jp/product/basic_info.asp?unitid=U100003145
したがって、基本的には付着末端でライゲーションすることが望ましいのですが、
場合によっては平滑末端でライゲーション(blunt-end ligation)せざるを得ないこともあります。
今回のエントリーでは、blunt-end ligation等のためにDNAの突出末端を平滑化する
プロトコールを紹介したいと思います。
*粘着末端(sticky end)と同義
二本鎖DNAの突出末端を平滑化する場合には、突出した末端の方向性に応じて以下の方法があります。
・ 5'突出末端の場合
5'突出末端を鋳型にして、相補鎖の3'末端をKlenowフラグメントなどのポリメラーゼ活性によって伸長させることで平滑化する。
・3'突出末端の場合
3'突出末端をT4DNA ポリメラーゼが持つ3'→ 5'エクソヌクレアーゼ活性で削って平滑化する。
一般的には、前者の方法、つまり5'突出末端をKlenowフラグメントなどで平滑化するのが望ましいとされています。これは3'突出末端をT4 DNAポリメラーゼの強力な3'→5'エクソヌクレアーゼ活性で平滑化しようとすると、削りすぎてしまい、一塩基ほど5'突出末端になってしまうことがあるためです。その結果、5'突出末端を平滑化した場合に比べて、ライゲーションの効率が低くなります。
5'突出末端の平滑化プロトコール
ここではタカラバイオのKlenowフラグメントキット(Takara Bio, cat no. 2140A, or 2140B)を例に、5'突出末端を平滑化するプロトコールを紹介します。(ここで、タカラバイオのもの使用しているのは、Lablogue管理人が単に使い慣れているという理由です。もちろん他社のものでも構いませんが、その場合は使用説明書に従ってください)
まずKlenowフラグメントを適切に扱うために、以下の点に留意しておきましょう。
・ 活性にはMg 2+を必要とする。
・ vortex等の激しい衝撃により失活しやすい。混ぜるときは、ゆっくりとピペッティングする。
反応液の組成(20 uLの系) | |
DNA 0.1~2 ug | |
10× Klenow Buffer(注1) 2 uL | |
2.5mM dNTP Mixture 1.6 uL (最終濃度 0.2mM) | |
Klenow Fragment 0.1~0.2 U (注2,3) | |
滅菌MilliQ ~20 uL | |
注1):Klenow Fragment(製品コード 2140A/B)に添付
注2):酵素の量はDNA1 ugに対して0.1Uが目安
注3):複数の反応を行うときはマスターミックスを作製する。1反応しかしかしない場合は1X Klenow Bufferで希釈する。
1. 上記の組成で反応液を調整し、37℃で10~30分間反応する。
2. 70 ℃で10分間加熱することでKlenowフラグメントは失活する。平滑化したDNAをサブクローニングなどに使用する場合は、フェノール/クロロホルム処理した後、エタノール沈殿を行う。
参考サイト
http://catalog.takara-bio.co.jp/product/basic_info.asp?unitid=U100003145